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第十一區

『第十一區のあゆみ』

第十一區は江戸消防記念会の創立30周年の年に新規に加入し、創立50周年記念の平成16年は20周年目という大きな節目を迎え、加入当初のことを振り返ると感慨深いものがある。
 当時『第十一區』という冊子を作成したが、今、この冊子を改めて読み返すと、現在も類似の課題を抱えており、新たな気持で次の世代に受け継いでいきたいと考えている。
 また、当時の第十一區の代表であった二番組組頭増田彦四郎氏は、「文化財の保存・伝承と史実文化の調査研究といった事業は、将来に向けての一大事業でありますので、一日一日を大切にして、これを積上げていきたいと思っています」「三百年の歴史を有する江戸消防記念会の名を辱めないよう、組員一同心を一つにして努力する所存である」と決意を述べている。



千住町消防組について
千住町消防組歴史の詳細は、慈眼寺(足立区千住一丁目)にある「案内板」に詳しく記載されているか(「江戸消防に係わる史蹟」の項を参照)。
慈眼寺には慰霊顕彰碑である南北消防記念碑と、真棒の記念碑・灯籠などが建立されている。
千住町消防組は、現在の一番組の母体であるが、日光街道が通る江戸四宿の一つの宿場町の火消しであり、新春四日、慈眼寺では安全祈願と梯子乗りで各種行事が始動する。まさに第十一區全体の歴史の起点になっている。
また、南北消防記念碑の脇には、記念碑建立記念の碑文と詩が刻まれている。
千代までも ちぎりし今の代までも残し置くぞよ 古新俗名(作詞作節 石山金五郎)
江戸消防記念会の発足と第十一區の加入問題
戦後、旧第十一方面の足立消防署管下の消防組や旧第十二方面の旧郡部消防組も、文化的遺産の継承の重要性を認識し、いくたびか江戸消防記念会への加入問題を話し合ってきたが、その都度不調に終ったため、旧千住町消防組は、昭和28年(1953)、独自に「千組消防保存会」を結成し、火消文化の伝承に積極的に動き始めた。
足立区における他の旧消防組も、ほとんど機を同じくしてそれぞれの地域において「鳶職組合」を結成して企業の安定化を図ると共に、千組消防保存会と連携を密にしつつ史実文化の振興と伝統技能の研鑽に励んできた。

東鳶足立支部の発足と第十一區の誕生
そこで江戸消防記念会への加入に関する組合内部の意見を調整統合するうえからも、社団法人東京都鳶工業会へ加入することが先決であるとの考えから、昭和45年(1970)
11月に足立地区100名の鳶工事業者が、足立支部として東京都鳶工業会へ加入した。江戸消防記念会と東京都鳶工業会は、表裏一体の関係にあるので、足立鳶職組合が東京都鳶工業会に入会し、鳶工事業者としての経営基盤の確立を図りつつ、伝統技能の研鑚に励んできたことは、極めて賢明な策であったと自負している。東京都鳶工業会へ加入してから14年を経た、昭和59年(1984)11月6日、第十一區が誕生したが、当時は、組頭・副組頭・小頭が46名、筒先・纒・階子が50名の陣容であった。

木遣の伝統を守って
昭和50年(1975)4月に西新井大師に「木遣塚」を建立したが、同時に木遣田歌の歌
碑が「木遣師 稲垣悦三 八十翁」の作詞で建てられている。
その詩は 木遣塚今日の除幕を寿ぎて 目出度唄う北の聲人 というものである。
その後、昭和59年(1984)11月に「真棒」の右手に「常夜灯」を「江戸消防記念会入会記念」として、一番組から六番組までの会員・準会員の全員で献納し、96名の氏名が記載されている。
少し前に遡れば、成田山新勝寺の「第五區木遣塚」や征清軍凱旋記念燈(浅草)の木遣地形を記念して作られた「鏡石」には、大勢の参加者の名前が刻まれているが、この中にも「千住北組」「千住南組」などの会員がいて、木遣師として「宝金事石山金五郎」「千住二丁目石塚大五郎」などが刻まれている。そのため石山金五郎が亡くなった時は菩提寺の安養院に「東京各區木遣睦」から常夜灯を一対献納していただいたほどである。そして、その流れを汲む故稲垣悦三氏に指導をしていただき、現在に至っているが、西新井大師の「木遣塚」と「歌碑」は、建立から早くも30年が経過している。その後も木遣りの研鑽は続けてきて、慈眼寺への石碑、平成16年(2004)3月末に勝専寺(通称赤門寺)に建立した「木遣顕彰之碑」と「常夜灯」は、第十一區のシンボル的な存在となっている。
関連寺社への奉納物と定例参拝について
 創立20年とまだ歴史は浅い第十一区であるが、区内数ヵ所の寺社にかなりの奉納物がある。
西新井大師・慈眼寺・勝専寺などへの木遣塚・常夜灯、安養院への常夜灯、源証寺・大川町氷川神社へ額などを奉納している。また職人の神様と言われる源証寺の「聖徳太子堂」へは正月・5月・6月に、西新井大師へは2月・6月・10月と12月の納め大師に大師睦(頭取と一部筒先)として、定例参拝を欠かさず実施している。

創立20年目を迎えて
 平成16年3月28日、第十一區の木遣を指導してくれた、「木遣師 稲垣悦三翁」の「木遣顕彰之碑」を勝専寺に建立し、開花した桜の下、翁の親族を迎えて除幕式を行なった。大きな節目の年に、二重に喜ばしい機会を得られたのは、先人達のご苦労があったからだと再確認している。

区内の方々との新春の行事
 新春は四日から始動するが、まずは足立区役所などで梯子乗りを披露している。そして日頃からお世話になっている方々など約20軒ほどの店先や自宅の前で、また区内の消防三署にも激励の意味を込めて梯子乗りを行い、最後は西新井大師で〆となる。また、5日には区内の名士などが5〜600人も参加する「名刺交換会」があるが、我々の存在をよく認知していただくことで、纒の振込み・梯子乗りなどを披露している。またそのことは若手にも晴れの舞台であり、意欲の向上に繋がっている。
更に我々を側面から支援していただいている「協賛会」があり、会員のご尽力により、平成2年より「大盃の儀」を行うようになり、毎年「協賛会」の方々と共に新年を迎えた喜びを共有している。

木遣り・纒の稽古と若手育成について
 世代交代は常に伴うが、木遣りを受け継いできた伝統と自負があるので、それを後輩達に指導・継承することが我々の使命と認識して、現在まで伝統技能の研鑚を行ってきた。今後もたゆまぬ稽古と研究を続けてゆく所存である。
 
「平成22年5月25日 消防殉職者慰霊祭でのひとコマ」


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